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星屑ロット

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五つ目



この世で最強の生き物とは何か、と聞かれれば、人間、と答えるだろう。
理性を駆使し、本能を抑えることに成功し、機械を作り出し操る人間は、身体能力の遥かに高い動物たちに勝る。と、言って。
確かにその通りだ。だからこそ思う。
もし、動物が理性を持ったら?動物の体で、人間と同じだけの頭脳を持てば?
これが、俺の考える、最強の理想だ。
理性も、本能も、意のままに扱えるもの。
実は俺はその存在を『魔王』って呼んでるんだけど・・・・・・。
あんたには、それを感じたよ。だから、魔王をさ。
この世で、一番美しい存在だと、俺は思うよ。
だから魔王の話だって。
ようするに、俺は遠まわしにあんたが世界で一番強くてきれいに見える、って言ってるんだけど。
え、何、不満?そんなに顔しかめんなって。
うるせえ、男だろうが何だろうが、俺にはそう感じるの。
分かった?だからそんな顔すんなって。褒めてるのに。
ん?・・・・・・ああ、はいはい。他の人には魔王の解説しないから。
意外に恥ずかしがりやだよな。
・・・・・・だから、そんな顔すんなってば。

はじめてあったとき、全てが奪われた気がした。近づくことも、この目にうつすことも、拒絶することも許されない気がした。
人間ももともと動物であるから、本能の部分を感じることがある。それでも理性的であろうとするアンバランスなところが人間くささを感じさせるのに、この男にはそれがなかった。まるで、自分の全てを手にして、他のものへなどの興味がまるでないかのような目をしていた。それでいて、相手の権利を全て奪ってしまうような。
魔王だ。俺にはすぐに分かった。こいつは、己の全てを手に入れる力がある。自分の全てを自分の支配下に置いたとき、人は魔王になる。
こいつの傍にいたい。この男が、どうやって自分を手にするのかを見たい。そのためには、まずこの男から、許可をもらわなければ。
俺は笑って手を差し出した。訝しげな視線を受け止め、それに微笑む。
(よろしく、最強でこの世で最も美しくなる人)

作品名:星屑ロット 作家名:こたつ