更新日時:2016-05-17 00:31:17
投稿日時:2011-03-28 21:50:28
冬の柿
作者: 楡井英夫
カテゴリー :掌編小説・ショートショート
総ページ数:1ページ [完結]
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著者の作品紹介
痴呆症になった老婆が若い医師を自分の息子と勘違いする。ある日の昼下がりのことである。和子がどうしても一緒に歩きたいと言ったので、高山医師は一緒が歩いた。病院の近くの柿の民家には柿の木があった。裸になった柿木には、まだしぶとく赤い柿が残っていた。和子夫人は赤い柿を指で示し「私もあの柿と一緒です。もうとっくに落ちてもいいのに、まだしぶとくしがみついている」とくすっと笑った。その顔をみたとき、高山に遠い日の母の記憶がよみがえった。それは火事の日以来、思い出すのが辛くて封印していた記憶である。和子の笑顔がその封印を解いたのである。「とことんしぶとく生きればいい」と高山は言うと、和子は微笑んだ。
感想コメント (1)
愛情を知った彼は、生きることにあがく道を選んだのですね。 | 退会ユーザー | 2012-01-29 18:36:11