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幼馴染み兼恋人

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黒谷蓮(くろたにれん)。高2。同クラ。イケメン。天然。モテる。俺の幼馴染。

…そして俺の好きなやつ。俺は

田口泉(たぐちいずみ)。高2.フツメン。甘いものが好き。17年間彼女なし……。

…あとは、えー…と…よくわからない。自分のことすらわからない。
でも、幼馴染のあいつのことはよく知ってるつもりだ。女々しいけど、それはきっとあいつのことが好きだから。
それに気づいたのは中3の時。小さい時から一緒にいたあいつにいつの間にやら惹かれていたらしい。

「泉―、帰るぞー。」
「あ、おう。」

登下校はいつも一緒。この時間は、俺にとってとてつもなく幸せだったりする。
……しかし、最近のあいつの行動はなんだ…??

「泉ちゃーん。今日も家に来て??」

そう言って俺の方に顎を載せてくる蓮。最近よく家に呼ばれて泊まらされたり、2人になると『ちゃん』付けで呼ばれる。
……これは期待してもいいのか?こんなことで期待してる俺はバカなのか??…でも、俺の返事は決まって

「しょうがねぇなぁ。」

だ。こういうとあいつは絶対

「わぁーい!!やったぁー!!泉ちゃん大好き!」

とか言って抱きついてくる。これがとてつもなく嬉しかったりする。

「ばっ……!!やめろよっ」
「あはは!テレないでよぉ!かわいいなぁ。」
「かわいくねぇっ!!」
「はいはい。あ、ほらついたよ。はいってー。」
「おじゃましまーす。」

ちなみにお互い独り暮らし。相変わらず片付いている部屋。ふっ…と、鼻をかすめる蓮の香水。このにおいをかいでいると安心する。それもきっとアイツのことが好きだからで……。

「あ、泉ちゃん。ご飯は??泉ちゃんのためなら何でも作るよ!!」

と、極上の笑みを見せる蓮。
そんな言葉と顔に少し期待する俺はやっぱりバカだ…。

「キモ…。何でもいいからお願い。」
「キモってひどい。」

本当に拗ねたような蓮の表情。コロコロ変わる蓮の表情を見るのは面白い。それも蓮の好きなところの一つ。
とにかくかわいい。

「泉ちゃーん!できたよぉ!!」
「おう。さんきゅー」

…うま…。蓮は料理がうまい。このギャップもたまらん。って俺は何を言ってんだ!!変態かよ……。

「どうだった??うまかった?」
「おう。ありがとな。今日、洗い物の量やばくね?俺、洗うから。」
「まじ!?ありがと!だいすきぃ!」

…まただ。ここで俺はかねてから考えていた質問をすることにした。

「おまえさぁ、好きな人とかいないわけ??」
「え?いるよ?」
「えっ!」
「そんなにびっくりしなくても。」

思わず叫んでしまったのは、びっくりしたからもあったが、ショックだったからだ。
好きな女いるなら俺に『大好き』とか言うなよ。

「…かせよ。あらうから。」
「なんでそんなに怒ってんの??」
「おこってねー。」

とか言いながらも、だれかもわからない相手に嫉妬してイライラ。洗いものしてる間も上の空。
そのせいで

ガシャーン

皿を割ってしまった。

「あ、わりぃ。」
「あ、いーよ!!気にしないで!……やっぱり、泉ちゃん変。どうしたの??」

そう言って俺の頬に手を伸ばす蓮。
なんだよ……。好きな女いるんだろ??…じゃあ、俺に期待させんなよ…。思わせぶりな行動とるなよ…。お前が俺に触れたりしようとするから期待するだろ?



…………俺の中の何かが一気にはじけた。

「……ンだよ……。」
「…え…?」
「何なんだよっ!?」

そう声を荒げた俺に驚いたのか手を止めて目を見開いている蓮。それに気付いたが、あふれ出したソレは、もう止まらない。

「いつも思わせぶりな行動して俺に期待させて……。」


……んなの勝手に期待している俺が悪いだろ。


「…好きな女っ…いるん…だろ…っ!?」


涙まで出てきた。情けねぇ。かっこわりぃ…


「だったらもう……っソイツんトコ……行けよ…っ」


言ってしまった。もう戻れない。すべて終わってしまった。しかもどさくさにまぎれて告白まがいの事をしてしまった。
『そんな目で見てたのか』『キモい』そう言われて振られる…。そう思っていた…。

しかし、返ってきた言葉は予想に反していた。

「泉ちゃん。俺、好きな人女だって言ってないじゃん…。」
「え…??」

どーゆー意味だ……?

「俺の好きな子はねぇ、男なのにかわいくて、甘いものが好きで、今まで彼女がいなくて……」

……え……?すると、安心するあのにおいに包まれた。

「今、俺の腕の中にいる子。」

そしてあの、極上の笑顔を見せてきた。

「マジ……か……?本気で……言ってんのか??」
「本気!!…あ!!もー!!なかないの!!」

俺はいつの間にか涙を流していた。

「……ぁ…りがとぅ……。」
「泉……顔あげて……。こっち見て…」
「……ゃだ……」
「もー……。泉…泉…?顔見せて。」
「……ムリ…」


そう言ったら耳元で「ゴメン…」って聞こえて顔あげたら―――――――――

チュッ

――――――キスされた。

「あはっ!!ごめん。我慢できなくて……。おこった??」

上目遣いで聞くなよ……。おこれねーじゃねーか。

「別に。」
「じゃー、続きしよっか!!」
「はっ!?」

なんでそーなる!?

「『はっ!?』じゃないよ!!ヤるよ!いいっ??」
「……ハイ。」
「泉ちゃんネコね。」
「……ハイ。」

普段天然のくせに、今日のこいつには逆らえない……。

でもこんな立場でも蓮の近くに入れるならこれでもいいと思ってる俺は
バカだ……。
作品名:幼馴染み兼恋人 作家名:のん