足りないモノ
お父さんに、お母さんに言ってほしかった
ぼくには、そのコトバを言ってくれる
お父さんも、お母さんもいなかったんだ
言ってくれる人をいっぱい探したけど、
見つからなくて、いつも一人
でも、ある日こんな話をしてくれるオトナがいた
「キミには、好きって言ってくれる人がいないんだね、
キミに足りないんだね。
でも、なんでだとおもう?」
わかりっこないぼくは、首をヨコにふった
そのオトナは優しくつづけた
「それはね、キミがあたえるヒトだからなんだよ
”好きだ”って、トモダチに、ほかのオトナたちに言ってごらん
そうしたら、いっぱいもらえるよ」
いっぱいほしいぼくは、
いっぱい言ったよ
いっぱい、いっぱい言ったら、
トモダチも、ほかのオトナたちも、
ぼくのことを大好きだって
ぼくは、うれしくなって、ナミダがでてた
あたえたら、いっぱいもらえるんだ
ぼくは、このことをおしえてくれたオトナにお礼を言った
「そうか、よかったね
もし、さいしょから言ってもらってたら、
こんなにいっぱい言ってもらえなかったかもね」
ぼくは、首をかしげたけど、
でも、お父さんとお母さんだけだったかもしれないとおもったら、
ふしぎなきがした。
「キミに足りないモノは、まわりの人にあたえてあげるんだ
キミはあたえる人なんだ
そうすれば、さいしょからもってる人よりも、
ずっといっぱい、いっぱいもらえるよ」
そっか、そうなんだ
いっぱいもらって、うれしくなったぼくは、
ほかにもぼくに足りないモノを、
いっぱい、いっぱい人にあげたよ
いっぱい、いっぱい人からもらったよ