テレビ対談・あの人に会いたい
井口「どうも」
アナウンサー「さっそくですが、井口さんが下ネタを始められたのはいつごろのときからだったんでしょうか?」
井口「そうですね、やはり思春期のころから意識し初めたところがあるかと思います」
アナウンサー「ははぁ。やはり異性が気になるのはチャンピオンも一般の人も同じころの時期ということですか」
井口「そうですね。私はむしろ少し遅いくらいだったかと思います」
アナウンサー「その当時の写真がこちらです。中学校の卒業写真ですね。この右端に座っておられるのが……」
井口「私です」
アナウンサー「笑顔で皆と並んで座っておられますね」
井口「いやぁ、恥ずかしいなぁ」
アナウンサー「見るからに利発そうな少年ですね。井口さんは高校、大学と順調に学業を進められます。何の変哲も無い学校生活だったそうですが、大学生の頃に初めて付き合った彼女ができたそうですね」
井口「はい、それが今の妻です」
アナウンサー「下ネタに打ち込んでいた井口さん。デートは何処へ行かれたりしたんですか?」
井口「妻はミッキーのファンだったので、ディズニーランドによく行きました」
アナウンサー「プロポーズはどちらから?」
井口「私ですね。横浜に夜景を見に行ったときに……いやぁ、これ以上は勘弁してください」
アナウンサー「なるほど、ありがとうございます。そして、大学卒業の翌年、下ネタワールドカップに出場、この年は予選リーグで敗退されていますね」
井口「はい。世界の壁を思い知らされた、というのが当時の正直な感想です」
アナウンサー「日本では負けなしだった若き井口さん、高く険しい世界の雄に追いつくため、ひとり北欧へ2年の合宿生活を決意します」
井口「妻の理解があったればこその決断でした。仲間や環境に恵まれていたからこそ、挑戦できたんだと思います」
アナウンサー「そしてその二年後、イタリアで開かれた2010年の大会では、圧倒的な実力で決勝まで進んでいかれましたね」
井口「無名だったからこそ、周りの選手からはノーマークだったのがラッキーでした。こちらは選手ごとに戦術を用意していましたし、駄目でもともと、プレッシャーもあまり感じませんでした」
アナウンサー「決勝大会の写真がこちらです。相手は南米ブラジルの選手。相手は井口さんより一回り以上は体格差のある、巨漢の選手でしたね」
井口「やはりパワーでは相手に分がありますが、技術やスピードでは勝る面もあったと思います。なにより勝って日本に帰りたいという、気持ちがいちばん強かったですね」
アナウンサー「激戦を繰り広げた井口さんは、延長戦の末に判定で勝利。涙を流してインタビューに応じる井口さんの写真がこちらです。この時におっしゃられた『いちばん上の最高の舞台で、最悪に下品な下ネタをやりたかった』という言葉は、流行語にもなりましたね」
井口「考えて用意していた訳ではないんですが……無意識に口から出てきました」
アナウンサー「井口さんのこれからの活躍を日本中が待っているかと思いますが、これからの抱負を一言お願いします」
井口「下ネタに夢を与えられて生きてきた僕ですが、これからは皆さんに、下ネタを通して夢を与えられるような、そんな選手になりたいと思っています」
アナウンサー「ありがとうございました。それでは最後に井口さんに、ワールドカップ決勝戦で逆転弾となったあの技を見せていただいて、皆さんとお別れしたいと思います、井口さん、お願いします!」
井口「おちんちーん!!」
アナウンサー「それでは皆さん、ごきげんよう!」
作品名:テレビ対談・あの人に会いたい 作家名:追試