偽善者賛歌22「刻苦勉励」
さて、明石がなにもしていなかったと思う方は挙手をお願いしよう。実際はそんなことはない。彼は当面の生活資金を工面していたのである。主に何で、と聞かれそうだが、こればかりは普通である。シナリオライター。ただしゴーストシナリオライター。どういうことかというと、他人の代わりにその名義でシナリオを書くのである。小説より寧ろこちらが得意である彼は、こちらで専門ゴーストをしていた。そもそも友人の豆乳中毒者は、別分野なれども同業のよしみで一緒にいるのだから。
彼の一日を実況中継してみよう。
「…」
本当にすばらしいと思える。曲も作れる人が小説を書くとか。でもそれを素でやられると、こちらの仕事が減る。もしみんながmothyみたいな超人だったらゴーストライターはいらないのだ。なのに、現実はそんな凄腕の人ばかりでなく、バカバカしいブームに乗っただけの、信条の「し」の字もない女どもがいるから、必要になってくる。心に身を立てようとしている人間は幽霊など必要としないし、実際ネットにはままれなどの超人はいるのだ。なのに日本の業界はバカばっかり起用する。その結果幽霊をため込むことになるのだ。
彼の考察の中で、珍しくこのナレーターの身も賛同したものだった。
作品名:偽善者賛歌22「刻苦勉励」 作家名:フレンドボーイ42