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僕の彼女についての考察

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 別れるってなあに、と彼女は言った。
「ずっと、みんな一緒にいるじゃない。別れなんて、わたし、したことないわ」
 彼女の隣に誰かが寄り添って、一緒に笑っている風景など、見たことがない。想像もできない。それくらい、彼女はいつも一人だった。
 周りに溶け込んでいるかのように。
「たとえわたしがみんなの近くにいなくても、わたしの中でみんないつも笑っているわ。とても楽しいのよ。お友達だもの」
 あぁ、そうか。今の言葉で、納得した。
 彼女は、別れを経験したことが無いのではない。別れを、別れとして受け止められないのだ。
 人が彼女から離れていっても、それは彼女にとって『別れ』にはならない。彼女にとってあくまで大事なのは、「お友達」本人ではなく、「彼女の中でキャラクターとして作られた」お友達なのだ。
 だから、別れない。彼女が、彼女の中の「お友達」を忘れない限り、別れることはありえないのだ。もし忘れたとしても、それは再会を望める別れ、ではない。ただの消失だ。


 「昔、彼女と友達だった」という数少ない自分の友人から、彼女の事を聞いた。『彼女は一人でいるのが好きな人間だ』と言っていたが、ある意味見当外れな意見だ。
 きっと彼女は、たくさんの人数でいるのが好きなのだ。
 けれど、現実の「お友達」では、何か理由でもあって上手くいかなかったのだろう。だから、「お友達」を作った。いわば人形なしの人形遊びを、一人で毎日繰り返しているようなものだ。
 今となっては、彼女にとっての「まわりの人」は、彼女の「お友達」を作るための元ネタにしかならない。彼女にとっての現実は、彼女の中となったのだ。

「ところで、何で今日はわたしに話し掛けてきたの?」
「・・・・・・特に深い意味は無いよ。興味本位、ってやつ」
「ふうん」
 彼女は、小首をかしげてこちらの瞳をまっすぐに見た。
「あのさ、友達と別れたいなー、って思ったことある?」
「ないわ。別れたら、寂しいじゃない」
 即答だった。気持ちが悪いくらいに、間髪いれずに即答した。
 まるで、何かを振り切るみたいに。
「・・・・・・そっか。うん、じゃあお邪魔したね」
「うん、お邪魔されたよ」
 にっこりと、彼女は笑い。
 僕は彼女と別れた。