オリオン
新入部員0、入部者三年生4人
今年の三月をもって天文部の廃止が決まった
天文部最後の観測はオリオン座流星群
今年を逃せば好機は七十年後のピークの流れ星
「オリオン座流星群はハレー彗星の塵なんだ」
横溝は濃紺の空をじっと見つめながら、ずれた眼鏡を押し上げた
「と言うことはカスってことだ」
「カスって言い方はどうかと思うけど」
「でもハレー彗星から出来たカスみたいなものだろう カスはカスさ」
勝呂の焦慮を孕んだ瞳は、睨みつけるように流れる星を模索する
オリオンの横で、彼の死を露の静けさで哀悼するように散らばる星を
静かな光の涙を
「し」
と間宮は唇に一本指
「静かにみよう」
寝転がる間宮は「最後なんだから」とただ静かにそう言った
私たちはただ黙って夜空を見つけるだけだった
三つ並んだ二等星
その隣に時々四方に星は落ちてゆく
彗星が過ぎ去ったあとの残りカス
オリオン座流星群
今年で私たちの居場所はなくなってしまう
なくなったあとのその跡に
一体なにが残るのだろうか
オリオン座流星群みたいに眩くひかり魅了する
残りカスの一つでも
残るのだろうか?