詩・海シリーズ
『航海』
港に響く汽笛
白き帆に風を受け
大海へと今
この世の果てを目指し
案ずる者たちを捨て
志という名の名誉欲と我儘を
男たちは求めゆく
果てを 最果てを
遠く さらに遠く
後を振り返ることなく突き進む
それは
勇気と表現すべきなのか
愚かと表現すべきなのか
あってなきがごとし海図
位置が分からねば無意味な羅針盤
荒れ狂う海を越え
波一つ立たぬ洋(うみ)を越え
どこまで行くのか
旅路の中で散った魂は
陸(おか)の土になることなく
大海に抱かれて眠る
生あるもの全ての故郷(ふるさと)で