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愛の劇薬

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02



「大丈夫かい、帝人君」
「大丈夫です。本当、大したことないんで気にしないで下さい」

 苦笑いする僕を見て、新羅さんが溜息を吐いた。新羅さんの隣に立っているセルティさんも同様の感想らしい。新羅さんはセルティさんと顔を見合わせて肩を落とす。

「でもねぇ、静雄の投げた自販機と臨也のナイフがかすったのって、十分大したことだと思うよ」
『帝人はもう少し自分の身を大切にするべきだ!』

 僕としては、文字通りかすっただけなので気にしていないだけなのだけど…。
 どうもこの二人…というか、池袋に住む知り合いたちは自分に対して過保護である。そこまで軟弱じゃないと思うんだけどなあ、と思っても口にしても誰も信じてくれない。

『非日常好きも程ほどにしてくれ。こっちは生きた心地がしなかったんだからな!』
「……すみません」

 心配をかけたのは事実なので、そこは素直に謝る。
 身を縮こませた僕を見て、セルティさんに頭を撫でられた。怒っているわけではないという意思表示なのだろう。セルティさんたちから見たら、僕は平凡で非力な庇護対象の少年なのだと思う。

 僕は頻繁に、静雄さんと臨也さんの戦争区域に立っている。気を逸らしたら殺られるという状況下にあると、二人の意識は他のものには全く向けられなくなってしまう。僕が二次災害を被る確率が低いのは、完全なる偶然による奇跡的なことなのだと理解はしている。している、のだけど。
 僕以外の誰もが、僕が二人の近づくのは非日常を求めているからだと思っている。
 それは確かに事実の一端ではあるのだが、本当のところは別の部分にある。それは、僕以外誰も知らない。
 
 僕は、折原臨也に会いに行っているのだ。

「まあ、今回も何ともなくて良かった。帝人君の運の良さはちょっと異常だよね」
「自分でもそう思います…」
「いつまでその運の良さが続くとも限らないんだから、セルティが言うとおり程ほどにするんだよ」 
「……はい」

 両者が喧嘩を始めると、池袋にいればすぐにその場所が特定できる。その場所に折原臨也がいることが分かるから、我が身の危険をかえりみることなく足を向けてしまうのだ。
 そして二人が暴れまわっている様子を、ずっと見ている。その行為は見惚れているというのが正しい。
 余りにも危険で馬鹿げた行為なのだけど、もはやそれを止めることはできなかった。破壊音が、叫び声が聞こえたときにはもう走り出しているのだから。

『すまない帝人。私は仕事があるから、これから少し出なきゃいけないんだ。終わるまで待っていてくれれば家まで乗せていくんだが……』
「ええ!?そんないいですよっ!僕一人で帰れますから、そこまで気を使わないで下さい!」
『私が帝人を送りたいんだ!!』
「あ、ええと…そう…なんですか……」

 眼前にぐいぐいとPDAを押し付けるセルティさんの勢いに、負けた。近い。近すぎる。PDAが近すぎて、読むのも困難なほど。新羅さんに助けを求める視線を送ると、新羅さんは楽しそうに笑っていた。完全に人事である。なんかこの人って腹立つんだよね、たまに。

「まだ外も明るいから平気だと思うよ、セルティ」
『だがっ…!』
「心配し過ぎだってー。帝人君は高校生なんだからさ。ほらセルティ、もう時間だよ。早く行かないと!」
『帝人っ、何かあったらすぐに連絡してくるんだぞ!』
「わか、分かりましたっ」

 何度も何度も名残惜しそうに振り返って、セルティさんは出かけていった。その背を見てようやく息をつく。嵐が去った後の気分だ。

「はい、帝人君」
「あ…。ありがとうございます、新羅さん」

 新羅さんから、湯呑みが手渡される。それを受け取って、更に深く息を吐いた。
 このマンションにはそもそも日本茶のセットは無かったのだが、僕がお邪魔するようになってから購入したらしい。紅茶やコーヒーよりもお茶が好きだからとても嬉しいのだが、なぜ自分一人のためにここまで用意してくれるのかは未だに謎である。(新羅とセルティが自分の子供のように帝人を可愛がっていることを、本人だけが気づいていない。)

「セルティはね、君のことが大好きなんだ」
「それは…なんとなく感じてます」
「そして私も帝人君のことがとっても大好きだよ、セルティの次にね。だから帝人君は、僕らをいくらでも頼っていいんだよ!」
「あう、え…ありがとうございます……?」
「どういたしまして」

 にこにこ笑う新羅さんに微妙な顔で応じつつ、何だかなあと視線を下へ向けた。なんというか、新羅さんの笑顔をずっと真正面から受け止めるのは疲れる。有無を言わさないというか、拒絶できないというか。こういうところに臨也さんと通ずるものを感じてしまう。そんなこと言ったら怒るだろうけど。

作品名:愛の劇薬 作家名:神蒼