嘘つきとせせら笑うくせに誰よりもそれを綺麗にしき詰めてみせる君はネイビーブルーを踊らせて今もまたそれを美しくしき詰めて模様を描く。綺麗だとか美しいだとかそんなものは自分の勝手な思いなのだけれど、間違ってはいない、(そうでなきゃこの仕事をしていない)すき間から溢れ出す、君がほんとうに見せたいものを掬おうと、目を開いて耳をすませて衝撃を待つ。多分、しょうげき。君がやわらかくネイビーブルーを愛おしんで裏返しの模様など考えずにそれを並べて砂糖壷から銀色のスプーンですくって熱い紅茶にとかす、そんな時があればと瞬きの間におもう。こはく色の液体を思い浮かべてその空想にミルクを入れる。なんて、陳腐で包ましやかなおいしさ。甘い。けれどもそれは現実にはないのであって、今あるのは水のはいった無機質なプラスチック、カルキ臭い。嫌いではないけれど。君が小さく、出来たよとつぶやくのでのぞき込んだら石畳に電気石を放り投げるように、うそ、と笑った。
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それを重んじて連ねる彼はだからこそ慎重に積み上げてゆくのだ。誰もがそれが形通りのものでないと知り積み上げたすき間を探りたがる。藍色をしたそれは一見乱れなく整然とあるのだが、その実すべて絵空ごとなのだとお前は言う。自分が最も近しい者であれ汲み取るのは容易ではないむしろ探る手を引っ込めたくなるほど強い、言いようのない衝撃である。そんな風にしか出来ぬのだなと繰返し息をとめる。どこまで身を浸しても届くことも解ることもない唯一絶対を決定付けた藍色。崩壊を予測し恐怖するほど綿密な重なり。何もかもを忘れて置き去りにした後に残される確固たるそれらは、自分では到底抑え切れぬものを落していくのだ。まるで隕石のよう。それでも連ね続く限り自分はそこに真を求めその度に同じ声色と笑みでお前は口にする。嘘つき。
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