店員な僕とお客なあなた。3
次の日。あの若い男はまた来た。
今日は甘いものものを買いに来たらしい、ケーキなどの甘いものが置かれているコーナーに行った。
雅と一瞬目が合うとニコリと笑う。
(・・・・ぁ 笑った・・・・・)
少し気になる。
目が追ってしまう。
(っていうかホントに今日も来たよ)
今日でまだ2度しか会ってない。
昨日急に「明日もいるの?」と聞かれ、初対面なのに慣れなれしく話しかけられた。
男の考えが読めない。
(いったい何を考えているんだろうか・・・)
そう感じていると男がティラミスとチョコレートケーキを持ってレジに来た。
「ぁ うまそう」
思わず声に出てしまった。
雅も甘いものが大好きなのだ。
いきなり呟いてしまい、恥ずかしくて顔があげられない。
(最悪だぁ・・・・・)
そう思っていると
「甘いもの好きなの?」
「え?」
男がいきなり聞いてきたので顔をあげてしまった。
(また 笑った・・・・)
「甘いもの・・・好きなの?」
「ぇ あ はいっ 好き…です」
「そう」
そう良い男はまたニコリを笑った。
その時に笑顔がすごくきれいで、今までに見たことがないぐらいだった。
(きれいに笑う人なんだな…)
そんなことばかり思ってしまう。
そのくらい綺麗だった。
「名前、なんていうの?」
「ぇ 雅です」
「へぇー。俺は和喜(かずき)。和の喜びって書いて、和喜」
「綺麗な名前ですね」
「ありがと。あとさぁ」
「はい?」
「バイトいつ終わるの?」
いきなり何を聞いてくるんだと思ったが答えない理由もないので
「今日は8時半位ですけど・・・?」
とだけ答えた。
「僕に何か用でも…?」
「いやぁ 別に?気にしないでー」
そう言い男は去って行った。
何だったんだ。まるで台風が去ったような、そんな感覚だった。
「苗字・・・聞いてない…。ま いっか。」
そう呟き、雅は自分のレジの仕事に戻った。
台風は まだ去ってません。
作品名:店員な僕とお客なあなた。3 作家名:はやかみ