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ばさぷり閑話休題1・節分?の大騒動

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「姫、フロリーナ姫。伝説の魔鎧が新しく発見されましたぞ!」
「ええっ、セバスチャン以外に魔鎧があったのですか? 初めて聞きました…」

亡国の王女・悲劇のヒロインであるフロリーナ姫に老執事ギャリソンが持ってきた
山吹色の謎の鎧。全身を鋼で包むいつもの魔鎧ではない。胸と腰まわりだけをガー
ドするタイプのようだ。
それは…鎧というより現世でいうところの『ビキニ』のよう。兜もなく前髪と額を
隠す程度のもの。小さな角状の突起が見える。

「…じい、それもわたくしが着けるのですか?」
「もちろんでございます。正義のために我が身を捨てて魔鎧を着る。なんと献身的
な慈愛の精神でしょう。じいは嬉しゅうございます」
しれっと答えるギャリソン。ハンカチを目に当ててはいるが涙は流れてはいない。
「(グス)わかりましたわ。では…」
見習い魔女のマリアとシスターのルーシーが白いシーツを抱えてやってきた。
「は~い、姫さまのお召し変えです~」
「男子禁制ーっ!カネ取るゾー!」


 * * * * *


 そして、山吹色に輝くご極小サイズの鎧を素肌にあてたフロリーナが現れた。
「ううう、やはりお肌が出過ぎですわ…」
「おお、お見事。セバスが炎の鎧なら、これはさしずめ雷の鎧ですな。呪文を唱え
ることによって雷を起こすことが出来るとか。意思はありませんが、代わりに軽量
で扱いやすくなっております。跳ねるように空も飛べますぞ」
「姫さま、すごいです~」
「うん、セクシー&ビューチホー!」
姫もほめられてか、魔鎧の影響か、まんざらでもないようだ。
「そ、そうかしら? じゃあ、どうすれば能力を発揮できるのでしょうか」
「それは…」
何やら古い文献を読む。
「ふむ、なるほど」
ギャリソンはいきなりカバン持ちのラッキーを連れてきた。
「ななな、なんだよ爺さん? お・姫! すんごい色っぽいカッコ! こりゃ
ラッキ~♪」
鼻の下をのばし喜んだのも束の間。

「呪文を唱えるのです。【デンゲキダッチャ!】」

ピシャーン!
いきなりの雷撃がラッキーに命中。
「あだだ! な、なんでオイラが試し撃ちされなきゃなんないんっすかー!」
ギャリソンは気にせず、豆を持ってきてフロリーナに2,3粒あててみる。何も反
応はない。
「東方の才女、ルーミ=ハイブリッジの文献には“鬼乙女は破邪の豆が弱点”と
ありましたが、無駄だったようですな。流石でございます」
フロリーナもコツを掴んだらしく、電撃を発する。
ぴしゃーん! ばりーん!!
「おいっ、ギャリソンのじいさん、いやギャリソン様、姫を止めて~~っ!」
ぎりぎりで避け、ラッキーが叫ぶ。
「ほーほほほ、この魔鎧、これはこれで使い勝手がいいだっちゃ…じゃない、良い
ですわっ」
風のようにくるくると回転しながら宙に浮き、続けざまに電撃を繰り出す。
「ちなみに最大出力呪文は…【ダーリンノバカー!】、でございます。」

バリバリバリバリ! 最大級の雷撃がラッキーにブチ当たる!

「うぎゃあああーーーーーーっっ!」


 * * * * *


「―ハッ!? ゆ、夢か…恐ろしい夢だった…イタタ? ねえ姫、オイラの頭にす
っごいデカイこぶがあるんですよ」
「…あ、あら、そうでしたの?」

 漁村ジャスコゥでマーフォークとゴーゴンを退けた後。
「でね、メロディちゃんが人魚になって消えたあたりから、どうも記憶があいまい
で…」
頭をなでるラッキーに、目が人魚のように泳いでいるフロリーナ。
「ど、どうしてかしら?」
「すんげえショックなのに、そのあと超ラッキーな何かが・・あったような・・・」
「気のせいですわ! あ、む、村にあなたのことを素敵な殿方と言っていた女性が
いましたわよ」
大慌てでジャスコゥを指さす。
「なんだって! ラッキー!」
びゅん! 怪我も失恋も、ご褒美に見えたフロリーナの姿のことも忘れて駆け出す。


「…行きましたわね。あんなケダモノでも、真人間になれることもあるのですね。
これからは更に厳しく躾けて、完璧に更正させなくては!」

 ・・・ラッキーの見た「裸夢」のお話しでした。 ちゃんちゃん♪

                              <おしまい。>