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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ダークネス-紅-

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「帝都警察のパトカーに追われてた奴らが落としていったらしい。俺はそれを譲ってもらったんだ」
「その仮面を売ってください」
「金なんていらない。この仮面、手に入れたときには思わなかったんだが、だんだんと気味悪くなってきた。この仮面をただでやるから、お前たちも早くどっかに行ってくれないか……商売の邪魔なんだ」
 露天商の声は震えていた。
 辺りの人々が露天を避けて大回りに歩いている。それに気づいた雅は仮面を受け取ると、俯いてお兄ちゃんを乗せた車椅子を押した。
 仮面を手に入れた雅は潜伏先の安ホテルを探し、部屋に入るとすぐにカーテンをすべて閉めて電気を消した。
 薄暗い部屋の中にお兄ちゃんの声が響き渡る。
「その仮面を被ってみたい」
 雅は包帯の上から仮面をお兄ちゃんの顔に被せた。
 暗闇の中で雅は眼を見開いた。
 闇の中にあっても、すぐ近くで見ていた雅にはわかった。
 仮面が包帯ごとお兄ちゃんの顔と融合したのだ。
 雅はお兄ちゃんの頬に触れた。
 皮膚の感触が指に伝わった。けれど、そこにあるのはもうお兄ちゃんの顔ではない。不気味に嗤う異形の顔。
 そして、異形の顔についた魚のよう口が言葉を発したのだ。
「……も……みじを……犯……行く……」