偽善者賛歌10「十字架」
偽善であればあるほどに明石は苦しい思いをしなくてはならないのだろうか、しかしながら当の本人はひどくすっきりした気分で居るのはなぜだか、とんと見当がつかないけれども、しかしそれでも良いじゃないかと思うようになる。
しかしながら、一つ思うのは、哀憐は何故あんなようなことを発言したのだろうか、という一点である。哀憐は偽善者になにを感じたのだろうか。偽善者とは何だろうか。
そもそも人は生まれながらにして偽善者である。赤子は笑い泣き叫ぶ中に喜ばせようとする意図を明確に感じるし、幼子は親を喜ばせるための自慢話をする。それを亜管なんだというのならば、じゃあおまえは子供になにを求めるんだ、という話になってしまう。ああ、もう一度、哀憐と話がしたい。あいつの考えが正しくないであろうことを、是非とも証明したいと思っているが、そんなチャンスはなかなか訪れそうにもない今日この頃である。
作品名:偽善者賛歌10「十字架」 作家名:フレンドボーイ42