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フレンドボーイ42
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偽善者賛歌09「愛別離苦」

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 結果的に離れているのはきついものもあろうな、と倉敷について想像する。明石は倉敷のことを結果的には知っている。しかしながらそこに同情を持ち得ないのは、明石と倉敷に、意識のはっきりした溝があるから、だった。「ずばり」、彼と倉敷は間が離れすぎている。彼女に対する絶対値が。
 それ故、倉敷は愛別離苦を感じざるを得ないところで、明石にはそれを感じられない。哀憐の知り合いだった倉敷と、明石の差は明確で歴然としている。彼が愛別離苦を感じているところで、明石にはそんなものはない。怨憎会苦も感じないが、求不得苦も五陰盛苦も感じない。生老病死に至っては哀憐は関係すらしない。
 彼は少し傷ついてしまっていた。でなければ、もっと明石のような健全な偽善者になれた。…彼は人と円滑に交流する、以上のことを求めた。偽善による深い愛情を求めたのが彼の失敗だった。