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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
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偽善者賛歌05「偽悪」

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「偽悪よりは良いじゃないか」
 「偽悪よりはましじゃないか」
 「偽悪よりは…」

 「それをエゴっていうんだよ」
 
 「どういう意味?」

 「いったとおりの意味」

 #

 うそをついて偽の関係性を持つことを彼女は堅く禁じていた。偽の関係性の上に成り立つ建前と仮想を嫌っていた。コスプレイヤーの仮装のごとく、新たな人格を張り付けて、そして別人かのように振る舞い舞う、そんな連中は蝶の舞をしたウルガモスにやられてしまえばいいんだ、そんなことをいっていた。要は焼死しろと、そういうことかというと、火葬だよと冷徹な笑みを、あるいは哀れんで憐れんだ笑みで、哀憐はいった。
 「偽悪より良いなんてエゴだ」
 何故かと問えばかえってくる。
 「偽善は結局嘘のモビルスーツを着ているようなものじゃない。エゴイスト専用ゲルググだよ」
 「…」
 「嘘で好かれてどうするの」
 彼女は、ああ、子供なんだ、精神が、もしくは、病んでいるんだ、ああ、あああ、ああああ、だって、建前でしか人類のつきあいは始まらないし、99.9%はそのまま終わってしまうものだろうが…、ああ、ああああ、ああああああ、わからなんだ、それは、純に生まれ、粋に育った少女には、わからなんだったか、ああああああ。

 偽悪よりは、良いじゃないか。橋本はそう今でも思っている。