偽善者賛歌03「晶出」
明石は哀憐からいわれた一言が突っかかった状態で三年を過ごしていた。
「そーいうのって、偽善だよ」
十和田の町の名物女早乙女がいる部屋の隣に住む明石は、十和田の町に時々やってくる倉敷という色白男を見ていて気味悪がった。なぜまたあんなネタ(=違法ドラッグ)を決めたようなよだれ垂らしまくり、糞小便のにおいがきつい女なんかを世話しているのだろうか?ネタを決めた証拠さえ有れば通報しようと思っていた。それが彼が考えるベストアンサーである。よくしても何にも得られない相手にいろいろやっても仕方がないだろう。
基本的に何かを退化として要求してその文に見合う善行をする。それが彼のスタンスだった。それを哀憐は偽善というのだろうが。
ある日決定的なときがあり、カメラで薬を持った女の姿を撮り、警察に提出し、隣から腐敗週のする女がいなくなった。正しく努力の結晶が晶出したというところか。
その翌日、倉敷のバラバラ死体が見つかったので、それを少し関連性を探ったが、別に何かするわけでもない男などどうでも良いという結論に達した。近所のおじさんと飲みに出かけ、奢ってもらった。今度菓子折りでも持っていこう。
作品名:偽善者賛歌03「晶出」 作家名:フレンドボーイ42