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フレンドボーイ42
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偽善者賛歌01「堕落」

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「偽善」を語るというのは別にいいじゃないか、と思っていたのは、彼女に比べて僕が幼いからではなく僕が善にふれる機会は多くあるべきと主張するからに起因するにすぎない。それがたとえ偽物であろうともふつうの感覚を得ている人間で有れば「善」を受けた記憶は刷り込まれていくだろう、と。
 だいたい、人を助けようという気持ちを偽善という言葉で非難されるのは思いもかけず気持ち悪いことだ。単に自分が可哀想がられるのが嫌だからという、貧乏人の理由で『偽善』というレッテルを他人に貼り付ける行為が許せない。じゃあおまえはそれをして何か救われるのか、と。おまえはむしろ孤立して行くばかりじゃないか、と。ウィンウィンであればなにか問題や有らん?
 兼好法師も実は偽善推進派だったことは知られている。彼はいうではないか。奇人のまねだといって変なことをするのは奇人になると、悪人のまねだといって悪事を働けば悪人になると。結局根っからの善人など殆どいない。多くの人は偽善から善になるのだ。その貴重なチャンスを壊す弱虫擬きは死んでしまえ。真に弱虫だというのなら、…僕もかつてはそう(=虐められっ子)だったが、そういう人間が本意であれ偽善であれ救いを拒むはずがないし、また拒んではなるまい。
 だから僕は生きていくことにした。あの娘に『偽善者』だと呼ばれた日から、偽善を生き甲斐にして生きていこうと。