小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
桜田みりや
桜田みりや
novelistID. 13559
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

大きな女神と小さな旅人

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

『逆らってはいない。運命が私を弄んでいる!』
『今なら引き返せる。あの日に』
『引き返しはしない』
『なぜ?』
彼女のしつこさに、苛立ちを覚えた。不本意でも自ら選んだ道だ、後悔などない。
『愚問だ。人は前にしか進めない』
彼女は押し黙った。言いくるめたのかと歓喜したが、そうではなかった。彼女は次の問いを考えていただけだった。」
『私に願うか?』
何のことかわからない。巨人に頼ばねばならないことなどなかった。
私に願いがあるとするなら2つある。ひとつは安住の地を。もうひとつは神に会うこと。前者はともかく後者は叶わない。
『私(神)に祈るか』
『神? あんたは神なのか?』
『私(神)が与えたもの(運命)を断るのはなぜか?』
『あんたが…神…』
『見せてやろう、運命を』
脳内に知らない記憶が流れ込んできた。
どれもこれも悲惨な運命。どれもこれも母がボコボコに死ぬか、僕がボコボコに死ぬものだった
私は激怒した。
狂ったように奇声を発し、感情の望むままにナイフを抜いてかの女の心臓につき立てた。この女が母を…母をも不幸にしたと思うと人間らしい理性とかそういったものは蚊帳の外に吹っ飛んでしまった。
ふと、われに返った私が見たものは、血まみれの女が横たわる様だ。不思議と殺人を起こしてしまった者が抱くという『恐怖』や『後悔』といった感情は沸いてこなかった。そうでしょうとも。その死んだ女は神であったのですから。」
男は村人たちに向き直った。その顔は親切をしている者の表情だ。
「だからあなた方が崇拝しているものはもう止めてしまいなさい。先ほど偶像を見ましたが、私が殺したのはあの偶像の女です。間違いありません。あなた方の神はもういません。女神は死んだのです。」
村人たちは男の言葉に激怒した。信じているものを侮辱されたと、彼らはそう思ったのだ。彼らは女神の侮辱だけは許さなかった。この村で生きるためには女神のご加護が必要不可欠だった。
激怒した村人たちは男を取り囲んだ。


そこから先の運命は、女神が用意したものだった。