小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

天気雨

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「さすがはわが国を追い詰める国の軍師だ。貴様を追い詰める策など、常人には考え付かんな」

内応。
この無能は、私を排除するために、敵と組んだのか。
そこまで私は恨まれていたか。
いや、権力欲だけでここまで人は徹底できるものなのか。
そんな自問自答が頭の中で繰り返される。

「あ……、これ……ま……、……ん」

もはや、何を言ってるのかすら、聞き取れなくなってきた。
と、奴の背後に控えていた兵が何かを持ち出す。
あれは、弓か。
もはや何人いるかもわからない。

「ではな」

その声だけが、妙にハッキリと聞こえた。




ざぁぁ。
ざぁぁ。

雨音がする。
空を見上げると、憎憎しいほどの晴れであった。
それはもう、透き通るような雲ひとつ無い、青空。

「これは、珍しい。天気雨か」

そう、呟いた。
呟いた、と思う。
刹那、無数の雨が、私の体を貫いていた。
作品名:天気雨 作家名:Vaclav