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大神 葉暮
大神 葉暮
novelistID. 21992
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零の百霊

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一ノ霊



 今から少し未来。空が少し狭くなった頃である。
彼の名は青柳 仁。大学受験二浪生。19歳。
丁度二浪決定と決まった冬の寒さが残こる、3月下旬。
風は冷たく突き刺さり、肌を凍えさせる。一人暮らしという荷は孤独を生みだし、
帰る場所はいつも寒い。そして、その夜。親の仕送りは程多くなく、
貰っているだけでも有難い。だが、金銭的にはまだ至らなく、
最近建設業のアルバイトを始めた。すぐに家の建設の、
午前5時から午後6時の間を任された。その作業の帰りの事だった。

 いつもの様に風は背中を押し、首の隙間から冷たい風が入り、体を奮えさせる。
そして、家から約100mの場所にあるビルに通りかかろうとした時、
ビルとビルの隙間から何者かが仁を見ていた。
「誰だ?」
 そう言うと、ビルの隙間から見ていた影は消え、ビルの隙間へ消えて行った。
すると、その陰に誘われているかのように足早にその隙間の前へ立った。
「行き止まり…気のせいか…」
 その隙間は数mも進むと3m位の高さはある壁で覆われていて人気は無い。
まず、人が入れる隙間すら虚しく、その隙間は10㎝程度だった。
これが、これから起こる、変異の幕開けになるのだった。

 そして翌日の朝、久しぶりの温かい日差しが射し、空は春の幕開けを知らせるような
晴天。昨日吹いていた風が嘘の様に無風。アパートに住んでいる仁に於いては、
絶好の日となる。筈だった。
「?味噌汁の匂い…味噌汁!?」
 一人暮らしで暮らしている仁にとっては久々に匂う匂い。
仁は味噌汁を作らなくアパートの部屋で匂うのは明らかに可笑しい事だった。
そして、その匂いに釣られ当然の如く起きた。
すると、その目線の先には一人、黒く長髪の仁と同年代位の女性が立っていた。

作品名:零の百霊 作家名:大神 葉暮