幸せノ光ノセカイ
幸せノ光ノセカイ
そこは光が溢れる世界。光が少女を囲い、少女は目を覚ます。
少女は記憶が無いようだった。いや、ずっとその世界に居るのだろうか。
闇が無い孤独な世界。その中に少女が一人。
風が吹くと、光は丸い形になって遥かな空に舞う。
その光景を見慣れているかのように、少女は晴れ晴れしく空を見上げる。
そして、寂しく建っている、小さな木の家に向かう。
家の周りは光という光で地面を照らしている。
まるで、少女を誘うかのように。
少女は寂しかったのだろう。家には光と光を紡いだ、淡い光を放つ人形、
木やガラクタを組み合わせて作ったロボットが一つあった。
少女はその人形とロボットに向かって微笑みを零す。
そんな日々を毎日送っていたからだろうか。
その微笑みは少し曇っていた。
そんな日の夕暮、少女はまた外に出ていた。
風に流されて光は天へと登る。その中に僅かに光が薄い光があった。
少女はその光を手の中に包み、風に流した。
その光は温かかった。少女は、涙を流した。初めてだった。
孤独で寂しい少女は、その温もりが羨ましかったのだ。
光は人の幸せの塊なのである。不幸な光は生まれてこない。
少女は幸せに囲まれて暮らしてきたのだ。溢れる光の中で。
だが、少女は気づいた。自分の幸せはここには無いと。
ここは、幸せが生まれる場所。自分の幸せは生まれない。そう気付いた。
少女はずっと居た場所を始めて離れた。遠い遠い場所に行けば
誰かがいると思ったからだ。だが、少女の努力は虚しく、
どんなに歩いても、同じ光景が広がり、誰も居なかった。
少女は疲れて座った。ボロボロになった体を、休ませる為に。
少女は仰向けに寝た。何日も寝ずに歩いていたからだろうか、眠気が襲ってきた。
うつらうつらとしている中で、光を見ながら少女は思った。
「次は皆の所に行きたいな・・・」と。
そして、光に囲まれながら、少女は儚く目を閉じた。