ちょっと怖い小咄【一幕】
小咄其の壱拾 『義理チョコ』
とある会社のオフィス。休憩時のこと。
赤城 「やったー! 庶務課の桃井さんから、チョコもらったぜッ」
青山 「へん、俺だってもらったぞ、しかも本命チョコ!」
黄島 「あれ? 俺もだ。本命ですよ~って。あの甘ったるい声で」
緑川 「ぼ、ぼく・・・"義理"だって、小さいの、もらった・・」
黒田 「私ももらったが、本命チョコ。どういうことだ?」
赤城 「うーん、俺も本命だぜ。ほらこれ。ラッピングに書いてある」
青山 「あの子もてるし八方美人だから、なあ」
黄島 「オレのが本命。お前らのは全部義理チョコなんだ」
赤城 「どれどれ、あ、青山のやつ、義理って文字を修正して本命って書いてある
じゃん」
青山 「黄島のチョコ、お手製って書いてあるけど、どう見ても明○マーブルチョコ
だよな」
黒田 「赤城のそれ、ベルギー産ってあるけど、多分沖縄黒糖入りのだ」
黄島 「ひょいパク。黒田さん、これチョコ味の豆腐だ…」
全員 「賞味期限切れだ」
「恵方巻きが入ってた」
「…なんか薬くさく、ないか?」
* * * * *
赤城 「…結局全員もらったのは義理…じゃなくて、偽装かよ~本命なんていないの
か~」
青木 「緑川、お前のチョコも義理なんだろ? やけに美味そうなんだけど」
緑川 「う、うん。"はい、これ。仕方ないからあげるんだから。絶対義理なんだか
らね!"って言ってた。"別にあんたなんか好きじゃないんだから"って。顔、
赤くして怒ってた・・・」
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全員 「――――――それだ~~~!!」
・・・「ちょっと怖い小咄」 第一幕、これにておしまい。
作品名:ちょっと怖い小咄【一幕】 作家名:JIN