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ひとつの桜の花ひとつ

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枕の想いは それぞれに


「あれー 飲んでるんだぁ・・」
風呂場から出てもどると、直美も夕子もビールのコップを片手にだった。
「おとうーさんにも、電話して泊まるの許可もらえたし、いいでしょ、私も高校生の時に飲んじゃったことあるし・・」
直美が少し顔をピンクで話していた。
「いいけどさー あんまり 飲むなよなぁー 直美は弱いんだからさー」
「えっ そうなんだ、そう見えないですよ、直美さんって」
夕子もピンクの顔でだった。
「えっー そんな風に見えるかなぁー ちょっとしか飲めないんだよ、私って・・・ちょっとでご機嫌なのよ」
「夕子ちゃんもほどほどにしてね・・」
「はーい、 でも、もう1杯はいいですかねー」
「じゃあ、これでおしまいね」
言いながら直美が夕子のコップにビールを注いでいた。
「はぃ、劉のもね」
俺のコップにもビールを一緒に注いでいた。
「ありがと、じゃぁ、残ってるから、直美も飲みなよ」
少し残ったビールを直美のコップにだった。
「ありがと、じゃぁ、かんぱーい」
「はーい」
夕子も大きな声でだったけど、何に乾杯なんだかはさっぱりだった。
「あっー 思い出した・・さっき、柏倉さんにも聞いたんですけど、直美さんて、まだ、柏倉さんといると緊張しますかぁ」
「なに・・いきなり、それって、劉はなんて言ったのよ」
夕子と俺の顔を見ながらの直美だった。
「言わないでくださいねー 聞いちゃ面白くないですから・・聞かないで答えてくださいね、直美さん」
「えっー 困っちゃうなぁ 考えたことないもんなぁ・・緊張かぁー ちょっと違うかもしれないけど、まだ、恥ずかしい時があるかな・・変な答えかな・・いいかなぁ・・」
「ふーん、なんか似てて面白いです、2人とも」
「それって、劉も同じような事言ったの・・」
「まったく 一緒じゃないけど、意味はたぶん同じことなのかなぁって・・」
「ふーん、そうなんだ・・」
直美は納得したような、不思議そうな顔だった。
「夕子ちゃんは、どうなのよ」
「私は、緊張しっぱなしで・・でも、なんとなく、わかったようなで、うれしいです。少しは緊張してもいいいんだなぁって思えたから、ちょっと楽になりました」
「うん、ほどほどにね」
笑顔で夕子に言い聞かせているようだった。

「早いけど、電気消してねようかぁ」
眠くはなかったんだけど、直美は眠そうな顔になってたし、夕子はもう布団の上で横になっていた。
「うん、夕子ちゃん、ちゃんとお布団かけて寝ようねー」
「はぃ、すこーし いい気分になっちゃいました」
「風邪引かないでね」
言いながら布団を夕子の上にきちんと直美がかけていた。
「電気消して、劉・・」
「うん、消すね・・」
布団の真ん中でうれしそうな顔をした直美を見ながらスイッチを消していた。
「劉、踏まないでよねー 見えてるのー」
「うん、大丈夫だって・・少しなら見えてるもん」
「ここだからね」
うっすらの部屋のなかで布団の中の直美の瞳がこっちっだよって光っていた。
「夕子ちゃん、寒くないかなぁ」
「はぃ、直美さん、遠慮しないでいいですから、そっちにくっついて寝ていいですからね」
「もう、言うねー 夕子ちゃん・・・」
「私は、寒くないですから、暖めてもらって寝てくださいね、直美さんは」
「じゃぁ、そうしようかなぁ・・」
「あっー もう 大人気ないなぁー ちょっとは遠慮してくださいよー」
わざと、こっちにくっついてきた直美に、夕子がわざと怒った声を出していた。
「じゃぁ、そっちにも・・・」
「もうー いいですってばー」
直美にくっつかれた夕子が笑いながら怒っていた。
「夕子ちゃん、寝かさないからねー」
「いいから、もう あっちにくっついててくださいよー、布団から落ちちゃいますから・・」
「そんな言い方しなくたっていいのに・・じゃぁ、やっぱり、こっちにしようっと・」
「いいけど、直美うろうろすんなって・・寝れないじゃんよー」
「あっー もうー」
言いながら横腹を指でつつかれていた。
「俺は、寝るからねー もう・・」
「怒られてますよ、直美さん・・」
「はぃはぃ、静かにしますって」
言いながら、直美の足は少し俺を蹴飛ばして、それからそっと触れるように足を置いていた。
「では、おやすみなさい、直美さん柏倉さん」
「うん、おやすみー」
直美と一緒に夕子にだった。

しばらくして、酔っていたから寝入っていたけど、小さな声で目を覚ましていた。夕子と直美の声だった。
「明日のことは無理いってすいませんでした、柏倉さん、なんか言ってませんでしたか・・なにも言われなかったから、今日・・」
「本当はね、劉って明日の夕子ちゃんの発表見に行くのって嫌でしょうがないんだよ・・すごーく気にしてたもん」
「そうなんですか・・直美さんはどうですか・・」
「私は、そうねー 今日のの夕子ちゃんの顔見てたら、安心かな・・」
「うーん、これでも、けっこうドキドキなんですけど・・」
「そりゃそうだよねー」
「直美さんも、発表の前の日ってどうでしたかぁ・・」
「うーん、試験の時のほうが、けっこうダメだったかな、発表は、もうしょうがないかって感じだったかな」
「そうですよね、もう、どうにもならないですもんね」
「そうだけどねー、 でもね、こんな事いったら、夕子ちゃんには悪いけど、明日のことは、私もダメって感じ・・そりゃ、合格してるんじゃないかなぁっては思うけど・・」
「すいませんでした、なんか、直美さんと柏倉さんと一緒に発表見に行くと、掲示板に私の受験番号がありそうな、そんな気がずっーとしてて・・」
「へー、そんな気がするんだぁー どうしてなの・・」
俺も黙って聞いていたけど、なんでだろうって思っていた。
「だってですね、楽しいんですよ、直美さんと柏倉さんと居ると・・だから、きっと、一緒に発表を見にいったら、きっと楽しい事あるんですよ、きっとそうです」
「きっとか・・そうだね、きっといい事あるよ、夕子ちゃん」
「はぃ、きっとです」
なんだか、少しだけほっとしている俺がいた。
「いい事いっぱい あるでしょ、柏倉さんといると、直美さんも・・」
「そうねー そうなのかなぁー 楽しい事はいっぱいあるかな」
「でしょー それに便乗です」
「うん、いい考えかもよ、よく寝ちゃってますけどね、誰かさんは・・」
小さな2人の笑い声が聞こえていた。
「それに、劉って晴れ男らしいから、きっと明日は晴れて暖かいかもね・・」
「それって、なんかいいです、柏倉さんらしいです」
「でしょ、私もそう思う・・」
小さく直美の足を蹴飛ばすと、指でおなかをツンってされていた。
「でも、柏倉さんも、きっと直美さんといると楽しくて、いい事いっぱいあるなぁーって思ってますよ」
「そうかなー そうだといいねー」
手を握ってきたから、握り返すと優しくまた、握り返されていた。
「きっとそうですよ」
「うん、そうみたい」
まだまだ、小さな声は続いていたみたいだったけど、あったかな手を握っていたら、眠りに引き込まれいくようだった。
夕子といると、いい事あるかもって、俺も直美も枕に乗せた頭できっと考えていたはずだった。

作品名:ひとつの桜の花ひとつ 作家名:森脇劉生