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もう許してあげて

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僕は女の子同士がいちゃいちゃしているところを見るのが大好きだ。
シリアスなドラマなんかで既婚者の女性が仲の良い友人に恋人や親しい友人ができて嫉妬丸出しっていうのもそれはそれで燃える。
僕の百合好きはおそらく母に似たのだろうが、うちの母はもっと酷かった。

思い返せば美少女が変身して悪と戦うアニメは毎週のように見ていたし、原作の連載している少女雑誌もかかさず購入していた。
僕は一人っ子なので小学生の時その少女雑誌が家に遊びに来ていた友達に見つかってしまい翌日から僕は少女向けアニメのタイトルで呼ばれるようになり、僕は最初の三日くらい泣き暮らした。
今でも同窓会でのたまに呼ばれるが、笑って流せるようになったのだから、大人になったもんだと思う。

そんな母が僕より酷いところは百合に限らず、薔薇もいけるところだ。
女の子同士が好きな僕のような男もいるので、その逆だと思えば大抵のことはスルーできるが、度々僕を含めて被害者が出る。
印象的だったのは僕が高二の夏休みのことだった。
友人の一人が僕の家に泊まっていった。
友人がいる間は母は良き母親を演じてくれていたけれど、彼が帰った後母はこう言った。

「彼、きっと男が好きよぉ」

そうゆうのマジでてめぇの脳内だけに留めておいてくださいませんか。
母と軽く言い合いになり、一週間弁当を作ってもらえない日々が続いたが、後悔はしていなかった。
しかし女の勘というものは怖ろしいもので、僕は三年後その友人に彼がゲイであることをカミングアウトされる。
しかも僕のことは少しタイプだったらしいが、筋肉があまりついていなかったので、本気で好きにはならなかったらしい。
中高時代陸上の長距離選手で、熱心に筋トレしていなくて本当に良かった。
砲丸投げをやっていたらもしかすると僕は友人とは良き友人同士ではいられなかったかもしれない。

その母の勘はここ五年ほどは彼の実の弟に向いている。
親戚同士で集まると必ず母は叔父に「彼女いるの?」の後に「じゃあ彼氏はいるの?」と尋ねる。それはもうしつこいくらい毎回毎回。
だいたい三十代後半で、男前で、家事全般が得意で、おしゃれで優しかったらゲイなんて偏見にも程がある。
ちょっと僕のゲイの友人に当てはまるかもとかそんなことは思ってない。絶対に。
叔父は丁寧に「いないよ」と母に返すが、いつも微妙な間があるとかそんなことに僕がひやひやしているなんてことも絶対にない。本当に。

あとこれは実話なんかではない。
フィクションって素晴らしいよね。
作品名:もう許してあげて 作家名:高須きの