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陰陽戦記TAKERU 後編

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第五話 守りたい者

 
 時は少し遡る、
『クソッ、聖獣どもがぁッ!』 
 廃工場では戦いに敗れた檮杌が地団太を踏み機材を鋭い爪で破壊したりと暴れまわっていた。
『檮杌、八つ当たりも大概にしろ』
『ああっ? テメェに何が分かる?』
『負けた事を物に当るなど愚の骨頂だと言っているんだ』
『テメェ……』
 饕餮の言葉に檮杌は目を吊り上げると両手から鋭い爪を伸ばした。
『随分な言い方ですね、饕餮』
 すると饕餮の後ろから窮奇が現れる。
『饕餮、貴方は一体何をしているのですか?』
『何がだ?』
 窮奇も決していい顔はしていなかった。
 饕餮に向かって目を吊り上げると皮肉たっぷりに言い放つ。
『我々が敗北したのは認めましょう、ですが戦いはおろか媒介となる物すら探そうとしない…… そんな貴方が我々に口を挟む権利があるのかと聞いているのですよ』
『その通りだ! 渾沌は遊び過ぎたとは言え奴等を倒した。だがテメェは一体何をした? 俺達の頭になったつもりかっ?』
 2人の怒りはもっともだった。
 饕餮はここに着てからと言う物ほとんどアジト代わりに使っている廃工場から出た事が無かった。
 ごくたまに出てもこの前のように助言をしたりする程度だった。
『まぁ貴方の事ですから何か考えがあるんでしょうが…… 私もいい加減に腹が立って来ましたよ』
『姑息なテメェがどう動こうと構わねぇが、そこまで言うからにはよっぽど自信はあるんだろうな?』
『ああ、あるさ』
 饕餮は口の端を上にあげる、
 すると檮杌と窮奇は互い顔を見合わせた。
『私と波長の合う人間と物はすでに決まっている、しかしまだその時では無いのだ。あの者の陰の気はさらに深まる…… さすがは暗黒の近くにいただけの事はある。』
 決してハッタリと言う訳では無い事は檮杌や窮奇も分かっていた。
 しかし何の実績も無い以上は強がり以外の何物でもない、
『お前達の言いたい事は分かっている、今回は私が出るとしよう、ついでにお前達の分の陰の気も集めてきてやる。楽しみにしていろ。』
 それだけ言うと饕餮は姿を消した。