繋がったものは7
電話を切ってから、堀内も笑い出した。そんなもん、放棄も何も金に興味なんかない人間が、それを言われたところで、どうともならない。十数年前に縁を切ったのだから、今更だと言うだろう。まあ、沢野のことだから、そこいらのことは、上手い具合に手元に入るように差配もするだろうが、残念なことに、その当の父親はピンピンしている。経営自体も、その父親のほうがやっているのだから、死ぬまで時間はかかりそうだ。
・・・・しかし、我の父親がピンピンしてるうちに、そんな根回しするて・・・・・・
それも、血の分けた兄に対してするか? と、堀内ですら呆れる。念書というのは、法的効力は一切ないものだ。今、それを書かせたところで、本当の相続の時には、何の効力も発揮しない。そういうことを取り決めたことがあったというだけだ。だから、水都は、法定相続分の権利は主張できる。どんなに文句を言われても、受け取ることは可能なのだ。
・・・・まあ、みっちゃんは放棄してしまうんやろうけどなあ・・・・・・
縁を切った時点で、家族という繋がりは消滅している。これも、法的根拠はないが、水都が決めたから、翻ることはない。
さて、どうしようか、と、堀内は考えてやめた。水都が会わないというのだから、それでいいか、と、思ったからだ。元々、そのつもりだったし、それでよさそうだ。わざわざ、そんなあほらしい提案を、水都の前でさせたら、怒鳴り散らすに違いない。それに、そんなものあっても、あれは幸せにならない。今の現状が、あれには幸せな状態で、それを崩壊させるようなことは、堀内でもしたくない。