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たかむらゆきこ
たかむらゆきこ
novelistID. 9809
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白緑

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4. たとえばそれが幻なら



「‥‥っ、‥‥ぃ」

 中を掻き乱す二本の指がある。繊細で色の白い自分の指とは違う、角ばった少々浅黒い指。快感から身を引こうとする腰を、逆の手が引き寄せ、耳元で囁くんだ、逃れられない声で。

 嫌なのかよ

「ぅ‥ぁ‥‥っ」

 落とされる声に反応が過剰になった。先ほどよりも滑りの良くなった具合に、ゾロは笑う。口端を上げて、穏やかな表情で。なにもサンジを苦しめたいというわけではないのだが、こうしたらイイんだろと思うことの結果がそうなるらしい。

 誘うのは毎度ゾロの方。
 サンジは気が向けば誘いに乗るが、向かなければ断る。サンジの方から誘うのは滅多にない。最初のうちは、断ってもゾロに無理強いさせられたりした。慣れ出すと、サンジが嫌がる時にはしなくなった。その時間が大切になれば、サンジは嫌だと言えなくなった。
そんな行為から始まった想いは、互いに募る。口に出そうなどと思っていなくとも、わかりきった感情だった、二人にとっては。改めて整理する問題でもなけりゃ、またそれは曖昧でもない。仲間意識を超える感情が存在した。

「‥‥っ、も‥‥」
「あ?」
「‥‥‥じゃ、‥なく、て‥‥」
「聞こえねェ」
「ゆ、び、じゃ‥っ、」
「わかってるよ」

 酷く優しい。優しさと精神加虐の微妙な連動が、よりサンジを昂ぶらせる。自らの意識ではなく、体に触れられることの心地よさ。そしてその手は、なによりも欲する相手のものだ。

「んう‥ぃ、‥‥はっ‥うぁ‥‥」

 何度それを飲み込んでも、それに慣れるということはない。むしろ毎回別のものになっているのではないかと錯覚さえする。いや、別のものだったら、感じるのは嫌悪か。それよりも、あんな馬鹿デカイ代物を毎回毎回飲み込んでいる、自分自身を称えるべきなのだろうか、──‥それもどうだ。
 水音が頻度を増す。卑猥な音が響き渡る中、意識をギリギリに保った。打ち付けられる腰に自ら動きを合わせていることも、サンジの頭の中では、もう羞恥でも何でもない行為になっている。ただ、そう、昇りつめたい一心。

 できるなら、こいつと一緒に、





「‥っ、‥‥あ?」
 ガタンと妙な音を立て、サンジは目覚めた。場所は武器格納庫、寝ているのは自分一人。なんだ夢かと、前髪をかき上げる。
 そして、夢の内容を象徴するかのような自分の体に気づき、嘲笑。なにを考えてんだおれの体は、そう呟いた後、バツが悪そうに溜息を零した。
 ゾロが目を覚ましたあの日から、一度も体を重ねていない。日数にしたらまだ五日程度のことだが。ゾロからの誘いもない。実際はサンジが上手くゾロを避けるからタイミングがないのだ。
「‥‥‥夢かよ‥‥‥」
 夢でよかった、そう思っている自分に息詰まる。

 すべてが夢ならいい。あいつとの夜は、全部おれが勝手にみていた夢なら。焦がれたとしてもいい、求めていたのがおれだけだとしてもいい。あいつとの関係が出会った頃と同じであって欲しい、なにが悪いって、なにも悪くない。
 先も見えない、今しか見えない、そんなおれたちだから、仕方がねェって、でも、見える今に囚われ過ぎてるような気がしてならないんだ。

作品名:白緑 作家名:たかむらゆきこ