地獄道
2年前のある日のこと…。
1人の少女が家族と共に観光でこの町に来ていた。
その少女はある道のほうを見て立ち止まった。
その道は少し暗く、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。
「お母さん、この道、行ってみない?」
「だめよ。その道…すごく不気味じゃない」
「だよね……」
「行くなら1人で行けばいいじゃない。夕方までには宿に戻ってきなさいよ、洸那」
「わかった」
洸那と呼ばれた少女とその家族はそこで別れた。
洸那はその薄暗い道に入った。
そこは普通の道と何も変わらなかった。
洸那は少しがっかりしたが、すぐに立ち直って先に進んで行った。
歩いているうちに日は傾きかけていた。
洸那は母親との約束を思い出して、来た道を戻っていった。
だが…。
いくら進んでも入ってきた場所に着くことはなかった。
「(どうしよう…。お母さんに怒られちゃう…。)」
洸那は諦めて先に進んで行った。
その先には2つの分かれ道があった。
「(どっちに行こう…。)」
洸那はしばらく考えた後、右に進んだ。
右に進んでいくとどんどん暗くなっていった。
日は沈んでしまって今は夜。
「(怖い…。お母さん達…心配してるだろうなぁ…。)」
しばらくして洸那は眠くなってきたのか目をこすりだした。
「(なんだろう…。急にすごく眠くなってきちゃった…。)」
洸那は近くの壁にもたれると寝てしまった。
その後、彼女はどうなったか分からない。
ただ、分かっているのは…。
その道は…何があっても入ってはいけない…。
一度入れば二度と戻れなくなる。
ただそれだけ…。
そして道の先にあった別れ道。
あそこは入った者の意志によって、それぞれの道の先で起こることが変わる。
だから、道に入っとしても…。
戻れず…何が起こるかわからない…。