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フレンドボーイ42
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短編家『愛しい』自殺が最初の縁でして

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感動する長編なんて書けるわけがない。だから感動できない短編を書く。そうやって一定数のファンを得ていく。ただしどうしても好きなあの娘の読むような小説じゃない。それがどうしても気に食わなくて、それでがんばって書き上げてみた長編は糞ばっかだったんだ。そしてある日に出会ったのがそういう方面に詳しい男で、そいつの言うとおりにしたら確かにすごくいいものができた。だけど、自分のものじゃなくなっていた。だから諦めたんだ。彼女とつきあうことを。恋仲になることを。
 そうして朝、学校の屋上から飛び降りたのさ。一命は取り留めちまったらしく奇跡的に怪我もなく、これは落ちる場所にちょうどふかふかなマット(体育でみる厚い方のあれな)だったからだが、先生はいじめでもあるのかと心配した。いじめがあれば先生たちの昇進がなくなってしまうからな。まあ、全然違うんだが。
 そしてそれがきっかけで隣のその娘と会話することができたんだが、その娘が俺の書いた小説をみて、やっぱり暗い顔をして、ああ、やっぱりだめなんだと思って、それではあとため息でもつこうとしたところ、言われたんだ。
 「この女の子のモデルは誰?」

 そうして今のこのような感じに至っているわけだ。彼女とつきあうようになって、長編を書けるようになって、そしてこれなら仕事にできると言うことで今作家なわけだが。
 何がきっかけになるかわからないもんだなと、愛しい彼女のたった今入れてくれたコーヒーを飲んで思うんだ。