襖(ふすま)
隙間から差し込む
蛍光灯のこもれ灯をまぶたに残して
ふすまは
静かに闇の中で私を抱いた
父と母と
大人だちの織り成す生活を
ふすまの向こう こころの芯に安心し
私は
私の眠りを安穏できた
コップ酒はうつろな反射
十一時をまわろうと「もう、寝なさい。」の声もない
蛍光灯の直射する ふすまのこちら側に回った私は
大人だちの生活の添い寝を失い
美しすぎた夢物語と
ふすまのこちら側との帳尻合わせに
悪戦苦闘の毎日だ
隙間へと差し込む
蛍光灯のこもれ灯でさするように
ふすまは
静かに闇の向こうでこどもたちを抱いた
こどもたちへ
かれらの湛える寝息を
こころの糧として
私は
私なりの安穏を
かれらに送りたい