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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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「田中。さっき役所から連絡があったぞ。例の仏さん、身元がわかったって」
 先輩からそうきかされたのは、ほんの数日後のことでした。
「よかったですね。あの人もこれで浮かばれますね」
 わたしは心からそう思いました。



 ところが、さらに数日後。とんでもないことを知らされたのです。



 
 死体を引き取ったのは、隣町で下宿屋を営んでいる初老の男性でした。

 『うちの下宿人の女性が3ヶ月前から行方不明だが、その人も指が6本ある。30代だし、年齢的にもあっているようだ』

 下宿していた女性は身寄りがないというので、大家さんである男性が代わりに葬儀を出すことにして、準備をしたそうです。

 ところが火葬を行う日の前日になって、行方不明の当の女性が帰って来たのです。
 下宿屋の男性はびっくりして腰を抜かしたそうです。そりゃあそうですよね。

 そんなこんなで、また身元不明になった死体はこちらの警察署へ舞い戻って来ました。

作品名: 作家名:せき あゆみ