指
わたしの指は5本です。あなたは?
え? 何を言ってるんだって? 5本に決まってる……。あ、これは失礼。そうですね。
右手に5本。左手に5本、足の指も。
けれど、世界中に生まれつき指の多い人が存在するというのもご存じですよね。
ええ、まれにいるんですよ。
いわゆる「多指症」という……「症」なんていうと病気みたいですが、遺伝的なものなんでしょうね。わたしは専門家ではないのでよくわかりませんが。
たしかにいるんです。ただ、身近にいないので、最初に出会った時は驚きました。
あ? わたしですか? 特に名乗るほどのものではありません。まあ、わたしの仕事は警察官です。もうすぐ定年の。
田舎の平凡な町で、ことさら大きな事件もなく、そこそこ平和に職務を全うしてきました。
ですが、こんなわたしでもたった一度だけ、おかしな事件に遭遇したことがあるんです。
ええ、もう、それはとても不可解な事件でした。永い警察官人生で、そんな奇妙な事件に出くわしたのは後にも先にもこの一件だったので、忘れられません。
ですから、ここでお話しておこうと思いましてね。
聞いていただけますか?
え? 何を言ってるんだって? 5本に決まってる……。あ、これは失礼。そうですね。
右手に5本。左手に5本、足の指も。
けれど、世界中に生まれつき指の多い人が存在するというのもご存じですよね。
ええ、まれにいるんですよ。
いわゆる「多指症」という……「症」なんていうと病気みたいですが、遺伝的なものなんでしょうね。わたしは専門家ではないのでよくわかりませんが。
たしかにいるんです。ただ、身近にいないので、最初に出会った時は驚きました。
あ? わたしですか? 特に名乗るほどのものではありません。まあ、わたしの仕事は警察官です。もうすぐ定年の。
田舎の平凡な町で、ことさら大きな事件もなく、そこそこ平和に職務を全うしてきました。
ですが、こんなわたしでもたった一度だけ、おかしな事件に遭遇したことがあるんです。
ええ、もう、それはとても不可解な事件でした。永い警察官人生で、そんな奇妙な事件に出くわしたのは後にも先にもこの一件だったので、忘れられません。
ですから、ここでお話しておこうと思いましてね。
聞いていただけますか?