お母さん
そりゃあもう生まれた時から、戦いは続いてたけど勝ったことなんて一度もない。
お母さんのヅバリと痛いところをつく口唇とか、嘘を見逃さない目とか、どんなに叩いても絶対に割れない鉄筋コンクリートのハート(本人は否定するけど、お母さんのハートには毛が生えている。あたしと同じ。さすが親子!)とか、自分を犠牲にしてでも家族に尽すとことか。
身長も残念ながら体重だって、お母さんに勝っている筈なのに、あたしは勝てない。別に体系なんて勝ちたくないのに。だって、昔はあんなに大きかったお母さんが今じゃこんなにも小さい。お母さんが生きている証の胸の鼓動たちは、急いで血液を運んでいる。
何をそんなに急いでいるの?
訊いてしまったら今のお母さんが、もっと小さくなる気がしてやめた。そして、あたしの鼓動たちは、マイペースにゆっくりだ。