小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

とある哀しい恋の話。

INDEX|1ページ/1ページ|

 


【とある哀しい恋の話。】



あの時、貴方が怖くて、次に待ち受けてる事がどうしようもなく怖くて、本当に逃げなくなった。そこにたとえ、愛があったとしても。


だから、だから私から、掠めるように口づけました。逃げるように、拒むように。


あの時貴方はどう思ったのでしょう。そんな私に期待したのでしょうか。愛されていると、幸せだと。


小説の世界じゃないんですもの。誰も”読者”に成り得ない。登場人物の考えている事なんて、誰にもわかるはずがないのですよ、ねえ。私も貴方も、所詮配役済みの捨て駒。


今でも貴方は信じているのでしょうか。あれは私の愛だったと、想いだったと。いいえ、いいえ。そこに愛はなかったのです、想いですら。怖かった、逃げたかった、だけど、逃げるすべが見つからなかった。


だから、だから、


逃げるために。拒むために。


先手必勝、私の勝ちでしたね。
結局私は、その温度を掠めてすぐに逃げ出しました。

あたかもそこに、愛があるかのように


あの時の頬を染めて瞠目した貴方を、私は忘れません、忘れられません。


この事実を貴方が知ることも、私がお話しすることも、地球が終わるその時にだってありはしません。


だから私はこの罪をひとり抱えて生きていきます。

忘れる事を赦さないあの表情の記憶、私の罪の象徴と共に


貴方を最後まで欺きながら、私という存在が終焉る、そのときまで


























今でも貴方は信じているのでしょうか。


































そこに、確かに愛はあったと。

















end.
作品名:とある哀しい恋の話。 作家名:永華