砂時計1
アイツ。夏のこと。
夏は私の前の席にいる。顔は普通かな?性格はいい。いつもあくびをして、授業なんて暇そうだ。そのくせ、テストの点は私よりいい・・。そんなところが、私は苦手だった・・・はず。
なのに、好きになってしまった。
いつの間にか、アイツは心に居座っていた。
砂時計をひっくり返して、時間を進める。ゆっくりと。アイツはいつもせわしなくて、よく笑って、よく動いた。なのに、どうしてゆっくり動く砂時計なんか土産にくれたのか・・。
夕日に砂時計をすかしてみせる。きらきらした砂は透ける。砂はすけるけど・・
夏の心は見透かせない。
ふうっと私はため息をついた。アイツがあたしを抱きしめてくれたのは何でだったんだろう?初めて感じる男の子の体温とか息使いにドキドキしちゃった・・。あの時、助けてくれてありがとうっていえなかった。
夏のバカ。カッコいかった。
あたしは砂時計をまた見つめた。