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後悔と

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お題:後悔




「なぁ、お前って後悔したことある?」

目の前でのんきに「いちごミルクオーレ」なるものを飲んでいる男に、いきなりそう質問された。

「・・・お前と出会ったことをいつも後悔してるが」
「え、ちょ、ひどくね?」

ピンク色のパッケージをしたそれを机に置きながら、「いや、そうじゃなくてさ」と仕切り直そうとする男は、高校生活で得た友人だ。
なぜ友人と言う関係が結べたのか、未だに不思議ではあるが。
なにしろ、「仲良くやろうぜ!」と声をかけてきたこいつに浴びせた第一声は「うっとおしい」だった。
その後も俺は無視を決め込んでいたが、なぜかこいつだけは諦めずに寄ってくるのだ。
最初の頃はこいつのことをMだと思っていたほどには、ひどく無視していた記憶がある。世の中には不思議なやつがいるものだとつくづく思う。

「なんかさ、これだけはやり直したい!っていうものはねーの??」
「無いな」

きっぱりと言い切った俺に、その友人はがっくりと机の上に突っ伏した。

「そんなお前も好きだぜ・・・」
「気色悪い」

ぐしゃ、と食べていたパンの包み紙を潰すと、机の上においてある、先ほど友人が飲んでいたいちごミルクなんとかとやらを飲む。

「あ!俺のいちごミルク!」
「さっさと飲まないお前が悪い」
「え~~!」

講義的な声を上げる友人を無視して、半分ほど残されてあったジュースを飲み干す。

「・・・なぁ」
「んー?」
「それ間接キsうぁだっ!?」

投げつけられたジュースのパッケージは見事に角がでこに当たり、額をさする友人はブツブツと文句を言いながらも落ちたそれを律儀に拾う。

あぁまったく、なんでこんなやつを友人にしたんだろうな、俺は。
作品名:後悔と 作家名:渡鳥