ピーターパン
そんなパパがある日、 飛んだ、らしい。僕は見ていないから本当のことなんて分からないけれど、ピーターパンなんて馬鹿げてる、って云っていた僕の大嫌いな大人たちは、みんな云ってた。あんたのお父さんは、本当に呆れた人だよ、ってね。何が呆れたのかなんて、知らないけれど、僕のパパは、ピーターパンみたいに飛んでいった。ティンクを連れてね。なぜかって?それからパパは、帰ってこなかったから。きっと今の仕事よりもネバーランドで、フック船長と戦っている方がパパには、合っているのかもしれない。
ママは毎日泣いていた。まるで涙で海が出来そうなくらいに。この調子でいったらパパのいるネバーランドの海に繋がるかもね?そのときはパパの代わりに僕がママをフック船長たちから守ってあげるからね。
だからママ、大丈夫だよ、きっとパパだって大丈夫。ネバーランドでうまくやっている。
だってパパは、ピーターパンになったのだから。
さよなら、パパ
もう二度と逢えない、って知っているけど。