博士の作ったロボットは
博士はロボットを作った。
とても高性能で便利なロボット。
見た目も人にしか見えない素晴らしいロボット。
そして自分の理性を持っていた。
博士は、愛という意味の「LOVE」という愛称をつけた。
その名の通り
愛嬌のある動き
愛情をこめた働き
愛がみえるほど博士に忠誠を尽くした。
でも
LOVEは毎日働いているといつしか思うようになった。
私は なぜ こんなことを して いるのだろう。
普通に 生活 したい
ロボット とは 呼ばれたく ない
私も 人間 なのに
理性をもったLOVEは自分を人間だと思っていた。
博士には「ロボット」ということを教えられてはいないのだ。
ある日LOVEは研究所から逃げ出した。
毎日博士のいうことを聞いて、動いて、働いて、
同じことの繰り返し。
愛を注ぐばかりだった。
私も 愛されたい
研究所からの道を走り、
行き着いたのは街だった。
ここには愛してくれる人がいるはず。
でも
街に来てもなにも変わらなかった。
愛してくれる人の探し方を知らなかった。
ただただ愛されたいと願うばかりだった。
やがてLOVEは倒れてしまった。
燃料が切れたのだ。
そのときLOVEは夢をみた。
研究所で、頼まれた部品をもっていく。
いつもの様な光景だった。
LOVEが博士に部品を渡すと、博士は満面の笑みを広げ、
「ありがとう」
と言った。
薄れゆく感覚の中で、LOVEは最後にこう思った。
私が博士を愛した様に、
博士も私を愛していた。
誰かを愛するということは
誰かに愛されるということだったんだー
動かなくなったLOVEの顔には、
誰からでも愛されるような笑みが広がっていた。
作品名:博士の作ったロボットは 作家名:829