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寒いので擬人化SSS書いてみた2

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「風邪ひいた」
「そりゃぁご愁傷様」
「誰のせいだと思ってるんだ」
「さあ?」
ニヤニヤと目の前で笑うイケメン男を楓は睨み付けた。
「お・ま・えが、急に来るからだろ!! おかげで気温が急降下して風邪ひいたんだよ!!」
「そりゃあ準備不足ってヤツだろ? 暦の上でももう師走。十分冬だぜ?」
それは分かっている。分かっていても、今年の夏の暑さを思い出すと『例年並』に冬が来ると、ただの『いぢわる』にしか思えない。
イケメン男に比べると小柄で可愛い少年に見える楓が上目使いで睨み付けると、傍からは恋人の不実を責めて拗ねているようにしか見えなかった。
そしてイケメン男はそういう空気を読むのが嫌味なまでに得意だ。
「なんなら俺の胸で温めてやろうか?」
わざとらしく両腕を広げる。
「ざっけんな! 馬鹿野郎!! てめーが来るだけで寒いんだぞ。オレをコロス気か!? えらそーな名前つけられたっててめーなんか所詮ただのカンキダンだろっ!!!」
オープンカフェで温かい珈琲を飲んでいた楓は、冬将軍に思いっきりテーブルを投げつけると脱兎のごとく逃げ出した。
「この国の子達はなんでそう俺を嫌うのかねぇ」
ちょっと切なく微笑むとそれだけで観衆たちは頬を染めてざわめきたつ。
それでも誰も側に近寄ろうとはしてくれないのが、故郷ではそれなりに親しまれている冬将軍ことシベリア寒気団の密かな悩みだった。