MUMMY
想像ばかりが膨らんで
何を入れたのか忘れた
干乾びた過去のモノ
石棺の中に眠るMUMMY
蓋をして閉じ込めた
見たくないモノは隠してしまおう
復活は望まない
開けてはいけないパンドラの箱
足元を覆い隠す
石棺の隙間から溢れる
澱んだ過去の空気
黴臭さが鼻を突く
音を立てて 蓋が開く
襤褸の包帯に巻かれた指先
唇がわななく 悲鳴は咽で潰した
想像ばかりが膨らんで
何を入れたのか忘れた
干からびた過去のモノ
石棺の中に眠るMUMMY
溢れ出す空気は
どうやっても止められない
膝まで忍び寄る
肌寒い冷えた気配
この気配を 僕は知ってる
随分昔に出会った
包帯の中身を 思い出して顔が歪む
想像よりも恐ろしい
もしくはとても陳腐なもの
干からびた過去のモノ
石棺に入ってたのは『僕』
胸まで迫ったおぞましい空気
心臓を押しつぶす
冷や汗が止まらない だけど
「愛してくれ」と縋られたように感じた
押し込めて殺した
最初は声も聞こえた
耳を塞いで 目を閉じて
知らぬフリをして忘れた
想像ばかりが膨らんで
何を入れたのか忘れてた
干からびた過去の『僕』
もうそこにいるMUMMY
目が合った 怖かった
無言のまま見つめ合う
MUMMYは笑った 満足そうに
「やっとこっちを見てくれた」
想像ばかりが膨らんで
中に入ってたのは愛しいもの
あっという間に崩れ落ちた
石棺から出てきたMUMMY
想像ばかりが膨らんで
簡単なことに気付けなかった
向き合うだけで良かった
認めるだけで良かった
想像ばかりが膨らんで
何を入れたのか忘れてた
干乾びた過去のモノ
永久の眠りにつくMUMMY