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みそっかす
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novelistID. 19254
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MUMMY

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MUMMY
 
 想像ばかりが膨らんで
 何を入れたのか忘れた
 干乾びた過去のモノ
 石棺の中に眠るMUMMY

 蓋をして閉じ込めた
 見たくないモノは隠してしまおう
 復活は望まない
 開けてはいけないパンドラの箱

 足元を覆い隠す
 石棺の隙間から溢れる
 澱んだ過去の空気
 黴臭さが鼻を突く

 音を立てて 蓋が開く
 襤褸の包帯に巻かれた指先
 唇がわななく 悲鳴は咽で潰した

 想像ばかりが膨らんで
 何を入れたのか忘れた
 干からびた過去のモノ
 石棺の中に眠るMUMMY

 溢れ出す空気は
 どうやっても止められない
 膝まで忍び寄る
 肌寒い冷えた気配

 この気配を 僕は知ってる
 随分昔に出会った
 包帯の中身を 思い出して顔が歪む

 想像よりも恐ろしい
 もしくはとても陳腐なもの
 干からびた過去のモノ
 石棺に入ってたのは『僕』

 胸まで迫ったおぞましい空気
 心臓を押しつぶす
 冷や汗が止まらない だけど
 「愛してくれ」と縋られたように感じた

 押し込めて殺した
 最初は声も聞こえた
 耳を塞いで 目を閉じて
 知らぬフリをして忘れた

 想像ばかりが膨らんで
 何を入れたのか忘れてた
 干からびた過去の『僕』
 もうそこにいるMUMMY

 目が合った 怖かった
 無言のまま見つめ合う
 MUMMYは笑った 満足そうに
 「やっとこっちを見てくれた」
 
 想像ばかりが膨らんで
 中に入ってたのは愛しいもの
 あっという間に崩れ落ちた
 石棺から出てきたMUMMY

 想像ばかりが膨らんで
 簡単なことに気付けなかった
 向き合うだけで良かった
 認めるだけで良かった

 想像ばかりが膨らんで
 何を入れたのか忘れてた
 干乾びた過去のモノ
 永久の眠りにつくMUMMY
作品名:MUMMY 作家名:みそっかす