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ひとりきりのとくべつにさよなら

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それは毎日の習慣だった。
他の生徒よりもかなり早めに着いた学校で、僕が向かう先は図書室。本当なら早朝の図書室なんて入れないのだけれど、図書委員長特権(と司書の先生の怠慢)で書庫の鍵を手に入れたのが2学期の初め。けして本が好きでなった委員長ではないのだが、誰もいない図書室、まだ誰も手をつけていない本、それが自分ひとりだけの特権だと思うとなにかとても素敵なように思えて、僕はその日から毎日、早朝の書庫で入荷したばかりの本を読んでいたのだ。

ただそれも昨日までのことだ。遠くから軽く弾むように廊下を歩く―おそらく昨日の朝ここであったばかりの彼女の―靴の音が聞こえてきた。軽く息をこぼし、本を閉じる。そして僕はひとりきりの特別にさよならをつげるのだ。


「早朝の書庫」で登場人物が「さよならを言う」、「靴」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://shindanmaker.com/28927 #rendai