埋められた地雷
細い足首が青紫色に染まっていた。
痛い、痛い、と緩やかに、とても大きな爆弾を落とすように、小さな感情を見せる兄の細まった目尻から大粒の涙が落ちていく。
それは核爆弾の衝撃に近いくらい俺の心臓を戒めた。
黒のハーフパンツから覗く白い膝に落ちる涙をジャージの袖で拭いて、痛々しい青紫色に当たらないように気をつけて細い体を抱き締めた。
目線を横に落とすとだらんとなだれる手首についた青紫色が嘲笑うように俺の視界に入る。
だからといって兄を攻める事はない。
抱き締めた、青紫色に触れればまるで地雷が爆発するように兄は涙を流すから。
兄は可哀想なのだ。
兄は可哀想な人なのだ。
新しい青紫色がまた増える。
その度に、俺の中にも、ひとつ、またひとつ、地雷が埋められていくのだ。