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みそっかす
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novelistID. 19254
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手相占いがやりにくい男

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手相占いがやりにくい男
 
 
 午後11時 駅前のシャッター街
 怪しげな占い師のおっさん 1回100円の手相占い
 見てもらった 僕の手相 僕の右手の手相を

 おっさんはまじまじと見つめて眼を丸くした
「あなた、生命線短いね」
 ちょ、まじで?
「ってか、とっくに死んでるはず」

 確かに僕の生命線は短い 3cmにも満たない
 そのくせ溝は深い 太く短く生きろってことか?
 ちなみに今、20代後半 将来の加齢臭が気になる

 沈黙が落ちる 僕とおっさんの間
 僕の手は握られたまま ちょっと汗ばんできた
 そろそろ放してもらっていいですか?

 おっさんは沈黙を破り口を開いた
「あなた、線が多すぎる」
 そんなこと言われても…
「多すぎて生命線以外分からない」

 確かに掌のしわは多い 太い線は7本ある
 だけど生命線は分かる 短いくせに目立つ
 本職の人に言われて やっぱりそうかと自覚した

 短い短い生命線 終わってるはずの生命線
 今生きているのが すでに余生過ぎということか
 いつ死ぬか分からない 死ぬ日がいつか知りたかった
 知れば死にたくないって 必死でもがいて精一杯 生きていけると思った

 3cm足らずの生命線 すでに死んでるはずの僕だけど
 もうちょっと生きてもいいでしょう?
 線で見えても見えなくても いつか必ず、死ぬんだから

 3cm足らずの生命線 すでに死んでるはずの僕だけど
 もうちょっと生きてもいいでしょう?
 太く短く? 細く長く?
 それよりイけるとこまでイってみたいよ

「まいどあり」
 100円渡して帰った 時刻はすでに真夜中
 昨日が死んで今日が生まれ、そして僕は生きている