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みそっかす
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novelistID. 19254
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変わらないもの

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変わらないもの


知らず流れた時はもう戻せないけど
変わらないものも確かにあるんだ

空腹に耐えかねて 台所を漁る
米は尽きた パンも小麦もない
カップ麺もありはしない 乾パンすらない

財布の中身も尽きた 時刻は深夜1時
銀行は閉まってる コンビニは遠い
約1キロの道のりは 冬の夜じゃ厳しい

どうしても諦められず 冷蔵庫を開いた
納豆のフィルムが虚しくゆれてる
バターの箱があったが 中身は空っぽ

最後の頼みの綱 冷凍庫を開いた
山積みの保冷剤 その下に守られた
3年前の焼そば2玉

どうしよう、これは食べられるかな?
冷凍マンモスの肉は食えたらしい
それならこれもいけるんじゃ?
視界の端でオタフクソースが微笑む

電子レンジが回る 遠赤外線放ち
ぬくもりの緋色は 歳月すらも溶かす
できあがった麺は 見た目は大丈夫

フライパンが光る サラダ油で光る
2玉の麺が踊る ほぐれたコシがうねる
材料は他にない 最後にソースを

あれれ、これは食べられそう?
香ばしい匂いに唾液が出る
焦げた麺もGJ!
からまるソースの照りが輝く

知らず流れた時間は戻せやしないけど
変わらないものも確かにあるんだ

3年前の焼そば 時は確かに経ったけど
そのおいしさは変わらない 空腹に染み渡る

食べた後で気がついた ソースは5年前のだった
作品名:変わらないもの 作家名:みそっかす