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みそっかす
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novelistID. 19254
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疑似胎内回帰

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擬似胎内回帰

 
 ぐんぐるんと膝を抱え 擬似胎内回帰をやってみる
 子宮がわりの布団につつまれて 受精卵まで戻ります
 何にも見えないと思いきや、瞼を透けて光が射す
 どうやら外は明るいらしい もうすこしここに居たい

 もぞりと動けばそれに合わせ 布団も波打ち包みこむ
 心地良い息苦しさが 僕が生きてるって教えてた

 脈打つ僕の鼓動が 耳の中で幾重もこだまする
 誰の胎内でもない子宮で 僕はもう一度生まれ直す
 何かを求めて手を伸ばした 掴んだものは掌の熱
 短い爪が食い込んで わずかに痛んで熱が増した

 ぐんぐるんと膝を抱え 擬似胎内回帰は続きます
 子宮がわりの布団につつまれて 十ヶ月まで育ちました
 近頃五感が良くなり、僅かな変化も感じる
 きっと良い天気なんでしょう そろそろここも飽きました

 布団の終わりを見つけようと 腕を出しては幾度も引っ込める
 ぬくもりを知りすぎた今や 外の世界が怖かった

 脈打つ僕の鼓動が 四肢のすみずみに響いてく
 誰の胎内でもない子宮じゃ 誰も産み落としてはくれない
 助けを求めて口を開く 入ってきた生温い空気
 肺が深く吸い込み 「もっとくれ」と言ってきた

 この胎内を この擬似(あそび)を もう終わらせよう
 生み出すためにあるこのぬくもりは、確かに僕のなかにある

 脈打つ僕の鼓動が 耳の中で幾重もこだまする
 誰の胎内でもない子宮で 僕はもう一度生まれ直す
 何かを求めて手を伸ばした 掴んだものは掌の熱
 短い爪が食い込んで わずかに痛んで熱が増した

 脈打つ僕の鼓動が 四肢のすみずみに響いてく
 誰の胎内でもない子宮じゃ 誰も産み落としてはくれない
 助けを求めて口を開く 入ってきた生温い空気
 肺が深く吸い込み 「もっとくれ」と言ってきた

 擬似胎内回帰は終わった 僕は布団から生まれた
 空には太陽が昇っていた ぬくもりがここにも降っていた
作品名:疑似胎内回帰 作家名:みそっかす