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鏡裏@のべりすと
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novelistID. 9876
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まだまだ冷たい

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目は見えず、首に違和感。
四肢は自由を剥奪されて冷たい鎖が繋いでいる。
私の息を吐く音だけが響くこの空間。
この部屋の主はたった今出て行ったところだった。
じゃら、と手足を動かせば鎖が絡む音がする。
鎖は目に見える愛。
そう彼は言って私を捕らえたまま離してはくれない。
目を布で覆われる前の彼の顔はとても満たされているような振りをしていた。
それは仕方ないのだ。
彼は私の愛を受け取っていないのだから。
彼は知らない、私の愛を。
彼は知ってくれない、私の愛を。
私をこうしてまで束縛しいつでも傍に置いておきたいと思いながら私の心を見ようとはしない。
私の声は彼の耳には届いていないのだ。
布に涙がにじむ感覚。
声にならない涙がこぼれる。
吐く息は感覚を狭めて嗚咽にいたる。
彼が外で何をしているのか、私以外の誰を見つめ誰と会話をしているのか、一体誰の作った何を食べ何を飲んでいるのか、一体彼のことを何人の女が見たのか見つめたのか。
私だけの彼ではないのか、彼は私のものじゃないのか?
冷えた部屋に私の上がった体温が心地よい。
しかし心は不快だ。
じゃら、と鎖を手繰り寄せる。
冷たい鉄の温度。
彼の愛はこの程度か、と鎖を抱き寄せる。

私の方がきっと熱い嫉妬の熱。