CROSS 第8話 『758革命』
『CROSS』発足から『758革命』直前までのテレビニュース
第8話 『758革命』
<異次元暦42729年 10月21日>
『異次元からの情報によりますと、この『758号世界』の管理者及び『CROSS』のリーダーに、山口氏が選ばれました。これで正式に『CROSS』が発足することになります。山口氏は記者会見において、門戸開放とグローバリズムを推進していくと表明しました。一方、敗れた村山氏は、「優勢だと思っていただけに残念です」というコメントを、代理人を通して発表しました。山口氏は今夜の発足会の後、他の世界で開かれる祝賀会に向けて出発するとのことです』
<同年 11月3日>
『他の世界からの視察団が来日しました。この視察団は、山口氏が掲げる門戸開放の方針から行なわれました。視察団の一行は、愛知県名古屋市内で開かれたレセプションに参加しました。視察団の一人は取材に対し、「少しでも早く、この世界で支店を開くつもりです」と語りました。ただ、今回の来日は事前の発表もなく行なわれ、視察団は入国審査を経ていなかったことに政府から抗議の声が上がっています。中には、CROSSとこのレセプションの共催である名古屋市内にある貿易会社との癒着を指摘する声も上がっています』
<同年 11月8日>
『愛知県名古屋市の名古屋港に到着した貨物船に、武器や兵器が満載されていることがわかりました。通報を受けた愛知県警が駆けつけたところ、CROSSのメンバーが武器や兵器をトラックに移しかえていました。県警が押収しようとしたところ、CROSS側が反発し、現場は騒然としました。このことに対し、山口氏は、「我々の地位を保障する協定を政府と結びたい」と話しました。問題の積荷は貨物船で保管し、貨物船を厳重な警備の中で停泊させておくことにしました』
<同年 11月11日>
『CROSSは政府に、『ク日地位協定』と呼ばれる協定の案を提出しました。この案に対し、政府は緊急の閣議を開きました。CROSSが提出した協定の詳しい内容はわかっていませんが、不逮捕特権や税負担の免除などがあるとのことです』
<同年 11月18日>
『政府とCROSSとの協定づくりがスタートしました。最初に政府が、視察団の入国審査や名古屋港の貨物船の問題についての説明を求めました。しかし、CROSS側は、「機密情報のため、説明することはできない」として説明は行ないませんでした』
作品名:CROSS 第8話 『758革命』 作家名:やまさん