ないものねだり
わるそうな顔をしていると思った。目つきが悪くて、とがったあごをしていた。他に特徴は無い。ただただ目つきが悪かった。
その三白眼で遠くを見ているので、何を見ているのか気になって同じほうを見た。
あ、見なければ良かったと思った。
優しくて、女子に人気の同級生を見ていた。
きっと彼は三白眼の瞳に、彼のようになりたいという気持ちを押し殺していたのだ。
それに気付くと、世界で一番彼が愚かでかわいらしくて愛しいものに思えた。
「わたし、あんたが好き」
「きもい」
わお!この三白眼め。こころのなかで思ってほっぺたにぶちゅってしてやった。
まんざらでもなさそうな顔をしていたので、ちょっと気持ち悪いと思った。
女の子に人気の彼は遠くで笑っていた。
今日は晴れてさくらがきれい。